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Masked Diode

INTERVIEW with

Masked Diode

April to May 2010, メールに依るインタビュー 聞き手/平野Y([…]dotsmark)

Q1,
マスクド・ダイオウドの基礎的なプロフィールを教えて下さい。
メンバー構成、結成時期、これまでの主な活動/リリース歴等。
また、中心人物である竜太さんのマスクド・ダイオウド以前のバンドキャリア等
もお願いします。

A1.
現在マスクド・ダイオウドの正式メンバーは高津竜太のみ。
以前は別名でバンド形態で活動していたが、改名してしばらくしてから私以外のメンバーが脱退、その後にインダストリアルノイズみたいな音をやるようになった。

正確な結成時期はバンドの結成時の1998年と言う事になるが、現在のユニット形態に移行した時点で言うと2004年の春になる。

ユニット形態になってからの初ライブは、2005年1月に高円寺20000Voltで行った。
その後も20000Voltで数回、その後は新宿URGA他でライブ活動を行ってる。
また、ノイズ系ばかりを集めた自主企画ライブを共同で二回行ったことがある。

今までにリリースした音源は、
2005年 「土人の神経戦」CDR(人間風舎レコード)
2007年 「Masked Diode」3″ CDR(L-White Records)
オムニバス参加は、
2007年 「FRESH BLOOD VOL 4 -DECAYING EMPIRE 」CDR(OpenWound, Industrial Heritage)
2007年 「”HEAR JAPANESE SEE JAPANESE SAY JAPANESE”」CD(dotsmark)

私個人のバンド経歴は、詳しく話せばそれこそ初めてバンドを組んだ15の頃や、初めてオリジナルの曲でライブをやった16の時まで遡ることになるのだが、そんなところからずっと話してもしょうがないだろう。そもそも、ここで語るに値するような大した経歴もないし。それに、バンド始めたときから今までをトータルで考えてみたら、バンド活動をやってない時期の方が長い。

今までやったバンドは、ジャンル的にはほとんどがハードコアパンク。他にはロックンロールバンドやレゲエバンドを組んだこともあるが、ほんの一時期だけだ。

パートはずっとボーカル。理由は一番ラクであり、一番その場を持って行けるから。昔は、人前で楽器を演奏することに興味がなかったのもある。

Q.2
「マスクド・ダイオウド」というユニット名の由来を教えて下さい。また、活動や楽曲制作のコンセプト等をお聞かせ下さい。

A2.
「マスクド・ダイオウド」というユニット名の由来を教えて下さい。また、活動や楽曲制作のコンセプト等をお聞かせ下さい。マスクド(masked)とは、日本語で「覆い隠された」等の意味がある。ダイオウドは、電流を一方向にしか流さない素子。その性質はもちろん長所であるのだが、長所短所と言うものは常に表裏一体の関係にあると私は捉えている。そのダイオウドが覆い隠されてる状態。それを人間やシステムと重ね合わせてる。長所と捉えたときにある種の人間を象徴し、短所と捉えたときに社会の一機構やシステムを象徴する、と言うのが名前を付けたときの元の考え。では具体的に何を現すかと言う話になると思うんだが、そこまでは今は語る気はない。
あと、片仮名にしたときの語感が良かったのも付けた理由の一つだ。
ライブや音源を作るとき等活動全般に渡るコンセプトを、正確に成文化するのは難しい。
キーワードならいくつかある。
一部を言うと「精神への揺さぶり」、「非日常」。

Q3.
マスクド・ダイオウドはユニット名もそうですが、曲名や歌詞においても英語/アルファベットを殆ど用いず主に日本語で発表していますね。「自国だけに留まらず諸国のリスナーに向けて国際的に活動する」事が一般的とさえ言えるノイズ/インダストリアルの世界においては日本語でのアプローチに拘ることは珍しい手法と思えるのですが、その姿勢をとられている理由をお聞かせ下さい。

A3.
自分の生まれ育った民族、地域の文化に誇りを持ってるし、日本語の語感や響きが好きだからだ。
一部のアジアの地域以外から来た外来語を片仮名で現すのはリアルな日本語だから、片仮名もよく使う。
海外のリスナーに向けて英語で書いた歌詞も作ってみたいと言う希望はあるが、現段階では英語で作った歌詞の善し悪しが自分で判断できるほど英語が達者ではないので行ってない。
片言しかしゃべれない者が訳したものでは、歌詞としてのクオリティーが低くなることは避けられないからだ。それに、なにげない日本語でも英語にすればそれだけでかっこよく見えたりするので、そういう安易な手法に走りたくないと言うのもある。
日本語で良い物が作れないからと、英語や他の欧州の言語に逃げるようなことはしたくない。
ただし、日本語しか使わないと言う意味ではない。
言葉の響きが好きなので、ライブでドイツ語を使ったこともある。
ちなみに海外で発表するものには、アルファベット(ローマ字)を使ってる。
ユニット名はMasked Diode、曲名はヘボン式ローマ字で表してる。
答えてて思ったんだが、やっぱりまず日本人に聴かせたい観せたいと言うのがある。
日本の広い層に。
一部のマニアだけをターゲットにするようなことはやりたくない。
狭い世界での常識などどうでもよいし。
それは歌詞だけの話ではなく、活動全般において言えることだ。
狭いムラ社会でのしきたりなど、マスクド・ダイオウドには一切関係のないことだ。
そもそもマスクド・ダイオウドは所謂ノイズアーティストなどではないわけだし。
狭い世界でのルールよりも、市民としてのモラルを守ること、人間としての筋を通すことの方が大事だ。

Q4.
マスクド・ダイオウドのライヴパフォーマンスに於いては、固定されたメンバーは高津さんのみで、毎回サポートメンバーを率いて行う事が多いですね。サポートメンバーにはどのような方々が参加しているのでしょうか。また、彼等はライヴに於いてどの様な役割を負っていますか?サポートメンバーの違いによってライヴの内容も大きく変化するのでしょうか。サウンド作りの要になっているものはなんでしょうか?常用している機材や録音についてのこだわりの他、意識の面においても自らのサウンドのどんな点を重視しGOVT.Aの軸にしているのか、GOVT.Aのサウンド作りの原動力となっている衝動はなんなのか教えて下さ

A4.
今までのライブにおけるサポートメンバーは、鴉とVENT。鴉さんは、今は古い水と言うノイズユニットをやってるみたいだけど、もとはパンクバンドのドラマーだった人。VENTはインダストリアルノイズのアーティスト。サポートメンバーには基本的に機材操作を担当してもらってる。
まあ演奏と言ってもいいが。
私がボーカルをとるバックで機材操作・演奏をしてもらってる感じだ。
基本的にサポートメンバーによってライブの内容が大きく変わることはない。
変わるとしたら、他の要素によるところが大きい。
2年ほど前からライブはギタリストのマサと一緒にやってるけど、これはコラボ的要素が強い。マサは盆の窪と言うインプロバンドのギタリスト。
今、二人で音源を録音してる途中。

Q5.
マスクド・ダイオウドに影響を与えた表現物、人物、出来事等があれば教えて下さい。

A5.
SPK、80年代初頭の日本のハードコアパンクバンド、Yellow Magic Orchestra、80年代前半の英・米のハードコアパンクバンド、CRASS、THE STALIN、The Pop Group、サルバドール・ダリ、キューブリック、ゴダール、松田優作、寺山修司、神道、日本の仏教、武家の伝統。

Q6.
今回[…]dotsmarkからリリースさせて頂く新作「中枢浸食」について質問させて下さい。まず、この作品のタイトルや内容に込められたテーマやコンセプトとはなんでしょうか?

A6.
この作品のテーマやコンセプトを、現時点で語る気はない。先入観を与えたくないのと、キャプション付き前提の作品でもないからだ。タイトルにしても複数の解釈できるわけだが、あえてこちらから情報を与える理由はない。
それよりも、聴いた人がどういう風に捉えるかに興味がある。
あと、この作品の作り方としてテーマやコンセプトを言葉で決めてから制作に入った訳ではない。

Q7.
音については過去の音源に比べてリズム/ビートをほとんど排し、より一層ハーシュ/パワーエレクトロニクス的な音像に近づいた様に感じますが、そういった音のスタイルの変化について高津さん自身楽曲制作に対する意識の変化はあったのでしょうか?。

A7.
正確に言えば、実は4曲全てにリズムはある。明確な打楽器的な音がないだけで。音がパワーエレクトロニクスに傾いてきてるのは、よりシンプルにしたかったと言うのが理由の一つ。その方が言葉が活きて来る気がしたからだ。曲の中での、言葉や声の占めるウェイトを増したかった。ただし、言葉を聞き取って欲しいと言う意味ではない。ましてや、メッセージを伝えたいと言う意図があるわけでもない。

Q8.
また、今回ポスター及び布パッチ同梱でトールケースジャケットという比較的凝った仕様でリリースさせて頂いたのですが、アートワークにおけるこだわり、コンセプトも教えて下さい。マスクド・ダイオウドの作品のアートワークは一貫して無難なテイストから一歩外れた特異なセンスを感じるのですが、アートワークのアイデアは竜太さんが生んでいるのですか?

A8.
今回のポスターもパッチも、私のディレクションでデザイナーが制作したものだ。そのコンセプトには複数の要素があり、それを音の方の要素と複合的に絡めてるのだが、比重としては今回の音源よりもマスクド・ダイオウドそのものを表す方が上になってる。
要素の一部には、「武士の末裔」「日本」と言ったものがある。

Q9.
マスクド・ダイオウドの今後の活動の予定、展開、戦略等をお聞かせ下さい。

A9.
いろいろ計画はあるけど、まずはマサとの音源を完成させリリースしたい。
ライブの本数も増やしたいので正式メンバーも募集してる。

Q10.
最後に何かありましたらお願いします。

A10.
メンバー募集中。
担当はライブ時の機材操作・演奏。
演奏には、MPC1000、SP-303の操作の知識や演奏の技術が必要だが、特に難しいものではないので、初心者でもそれらを習得することに意欲的であれば歓迎する。
スタッフも同時募集。
仕事内容はマネージメント、アートワーク制作等、マスクド・ダイオウドの活動のサポート。
マスクド・ダイオウドとライブでコラボレーションしたいと言うアーティストも募集中。
応募・問い合わせはryuinu@excite.co.jpまで。
そして最後に、今回「中枢侵食」をリリースしてくれた[…]dotsmark代表・平野君に、この場を借りて感謝の意を表する。

ありがとうございました。